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B'z-『MONSTER’S GARAGE』DVD [B'z]

何事にも、現状からの鼓舞を図るための建設的な批判は必要だと思われる。
無論、この『MONSTER’S GARAGE DVD』にしても然り。

おそらく、稲葉さんの整った顔立ちや鍛え抜かれた肉体美、
松本さんの随所で見受けられる演奏の素晴らしさ、ライヴ全体を
一つの「SHOW」として眺めた際の完成度などを、そのまま映像として
提供しただけでは、充分な価値創造が為されたとは言えないのではないだろうか。

DVDを鑑賞していて、製作者側も付加価値とは何なのかを
明確な形で提示しようと努力している姿勢は感じられる。
それは例えば、ドキュメント映像としての『OFF LIMITS ~HOW TWO MEN
CREATED A MONSTER』であったり、おそらく『MONSTER』の迫力ある曲調に
インスパイアされたために発生したであろう、迫力感を得るための
あまりにも多すぎるカメラの切り替わりであったりするわけだ。

こういった付加価値を求める姿勢というものは、
製作者としては持っていなければならない観念だと思われる。

しかし、「ちょいと待て」と、DVDをつらつらと観ながら感じた。
革新的であろうと、つまりは今までには無かった価値を見出そうとして、
ハッと気が付くと望んでいた所とは程遠い場所に着地してしまってはいないだろうか。

このDVDに、製作者サイドが込めた意図、望んでいる結果というものが
何かかは分からないが、個人的に推し測ってみると、
「モノを作る者」としては、受け手(購買者)に自分の作品を何度も
繰り返し観て欲しいという想いは至極当然にあるはずだろう。
派生的にLIVE会場にも足を運んでもらいたいということも希求しているのかもしれない。

さて、じゃあ今回の『MONSTER’S GARAGE』という作品が、
その事項を達成できているのかを考えると、私は残念ながらそうは思えないのだ。
あまりにも多用し過ぎているカメラの切り替わりが、目の疲れを引き起こし、
受け手の「もう一度観よう」という想いを削いでいるように思われる。
結局は自分の好きなシーンだけを観る段階に止まっているのではないだろうか。
少なくとも私は、もう一度通して観たいとは思わなかった。

大学の授業で、十数秒間のCM内で、映画一本分の
カメラ切り替えが使われたCMを見たことがある。
スクリーンに映し出された造形物が何なのかを確認しようとした瞬間には、
次の場面に切り替わっており、結局は何を表現したかったのが分からないという有様であった。
CMという購買者に対する訴えかけが絶対的に必要なモノで、
そのCMが何を伝えたいかが分からないなんて言語道断であろう(苦笑)

このCMの事例と『MONSTER’S GARAGE』を同じ土俵で
考えるのはどうかとも思うが、少なくとも何かを伝えようと思い、
それを表現しようと試み、その手段として映像を用いる点では同種であろう。
そして帰結としても、上記のCMと同じ道を辿っているように私には思える。

画質の鮮明さ、音質のクリア感、構図、そしてカメラ切り替えのタイミング等といった、
いわゆる視覚的・聴覚的な素晴らしさを作り出す技術は、
あくまでも製作者側の計画(その作品にどんな価値を持たせるか)を
完成させる手段でしかなく、その手段を適切に用いながら鑑賞する側にとって意味があり、
何らかの価値創造を成し遂げることを可能にさせる作品(DVD)が
目指されるべき作品だと個人的には思っている。
つまり、画質の鮮明さ、音質のクリア感、構図、そしてカメラ切り替えの
タイミング等いった要素は、製作者の計画を達成させるための「手段」でしかなく、
それ自体が「目的」となってしまってはならないということを一番言いたい。
今回の『MONSTER’S GARAGE』はまさに「手段」が「目的」に
すり替わっていたように私的には思えた。
まあ手っ取り早く言えば、私見では映像芸術の段階で止まってしまっているのだ。

内情を抉るように躍動する「MONSTER」を表現する方法はこれしかなかったのだろうか…。

無論、以上はあくまでも個人的な見解であり、「いやいや、
迫力ある映像を見れれば充分だ!」と言う人もいるだろうし、
「稲葉さんの姿、松本さんの演奏姿を見れれば充分だ!」という人も当然いる。
まあ、これを価値観の相違という言葉で片付けるのは簡単だけれども、
少なくとも芸術と言う観点から見れば、改善する余地は十二分にあると思う。
素人目でみて、単に絵の上手い絵描きさんは五万といるが、その中で
社会的な成功を収める人は、ほんの一握りに過ぎない。
両者の差異に芸術の奥深さがあると思うし、そこに価値を求めて探求することが
本当の「革新的」であることだと個人的には強く思っている。


建設的とは言え、批判ばかりでは疲れてしまう。
『MONSTER’S GARAGE』で感心した点もいくつか。
まず、会場の広がりを非常に巧みに表現したように思う構図が随所に見られ、
B'zと観客の両方の躍動感が、ほぼ共時的に見れてなかなかと思った次第。

あと、最も感心したのが稲葉さんのショットの少なさ。
これまでのDVDと比べると明らかに少ない。
一通り見ただけでこう感じたのだから、かなりの時間数が削られているのだろう。
僕にとってやはり「稲葉浩志」とはメインディッシュなわけで、
メインディッシュばかりを食べ続けることが出来ない性分。
そういう理屈で、今回の制作サイドの「隠す美学」なるものに思わず感心してしまった次第。
何も全てを見せることが美徳であるわけではない。






こうまあ、何だかんだとつらつらと書いてきたわけだけれども、
この『MONSTER’S GARAGE』を鑑賞して一番思ったことをこの末尾に添えておこう。


「B'zファンでよかった。」そう心から思う。
そしてこれからのメンバーのさらなる飛翔を願わずにはいられない。




いつの日にかこの場所で 僕らもう一度会うんだよ                                                                    優しさや喜びに ふりまわされ 生きぬいて                                                                       
SEE YOU AGAIN

B'z LIVE-GYM 2006“MONSTER'S GARAGE”

B'z LIVE-GYM 2006“MONSTER'S GARAGE”

  • 出版社/メーカー: ビーヴィジョン
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: DVD


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