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積み重ねからの「なんとなく」 [B'z]

ある起業家の方が、「感覚」に関して興味深いことを述べられていた。

例えば何かの商品開発を行っていて、
試作品の「A」と「B」が最終候補として残ったとする。
どちらを世に出すか苦慮しながらも、
何となく「A」の方が良いと思ったので「A」を選定し、商品化した。

上述の判断過程は、一見すると「なんとなくこっちの方がいいな」といった
「感覚」による荒唐無稽のもののように思えるが、ある女性起業家の方は違うと仰る。

「感覚」によって出された決断。
その背景には、その人物のそれまでの人生の中で得た経験がある。
すなわち人生の中で累積された知識や経験が、
「なんとなくこっちの方がいいな」という「感覚」をもたらしている。
だからたとえ言語化できなくとも「感覚」による決定は、
まったく根拠がないものだとは安直には言えない。



なるほどなぁ。
無論、経験値の差異による「感覚の質」の違いはあるのだろうけれど、
妙に納得するお考えである。

この起業家の方のお言葉と、
NHKスペシャルでの松本さんの「野生の勘かな」という言葉が綺麗に結びついた。
それはまるで点と点が一直線に結ばれるような感覚であった。

前掲の松本さんの発言は、
インタビュアーの「ヒットさせる方程式は?」という質問に対しての答えである。
松本さんのこの発言から真意を探るのは困難だろう。
仮に作品制作上で何らかのヒットさせる方程式があったとしても、
私なら絶対に口外せずにいるし、地上波放送の番組で述べるわけがない(笑)。
わざわざ自身の利得を脅かすようなリスキーな状況を招く必要性はどこにもない。

しかしながら松本さんの受け答えの様子を拝見すると、
松本さんの心中には前述のような思惑はなく、
本当に心の底から「野生の勘」と述べているように私には感じられた。

ミリオンを連発していた時期には言語化(形式知化)できないまでも
ヒットの方程式は見えていたと松本さんは述べている。


暗黒時代と形容される時期の作品群を見ると、
明らかに路線は変更され、逆行というか、少なくとも世の中の流行りを研究した上での
「売れ線狙い」という視線はまったく感じられない。
それは、この頃の松本さんの「こっちがリスナーを啓もうしてやろう」
という言葉からも十二分に推し量れる。
おそらくこの時期あたりが「野生の勘」によってヒットの方程式が見えていた時期になるのだろう。

番組制作側は「野生の勘」という、
なんとも曖昧な回答が返ってきて拍子抜けをくらったかもしれないが、
先に述べたように「感覚」による決断・判断は一概に荒唐無稽なものだとは言い切れない。
幸いなことに松本さんはB'zを結成する以前、セッションミュージシャンとして
あまたのアーティストのライブなどに参加していたというバックグラウンドがあり、それが松本さんの
広い音楽的な視野、あるいは知識・経験の獲得につながったことは容易に想像がつく。

それらから導き出された
「いやー、今のこの勢いとこのメロディなら絶対ドンリブでいけるっしょっ!」という
松本さんの感覚(野生の勘)が決して説得力がないものだとは私は思わない。

「RUN ~20年の軌跡~」では、
『いつかまたここで』のギターソロの箇所を何遍もとり直している様子がみられる。
のちにインタビュアーからボツになったギターソロを聴かされ、
なぜこれらがダメなのかと問われた時、
松本さんは「感覚の問題かな。(中略)職人のこだわりだね。」と答えている。

音楽ど素人の私が「こっちのソロの方がいいんじゃない?」というのと、
松本さんが「こっちのソロの方がいいんじゃない?」というのとでは雲泥の差がある。
その「差」こそが、「松本さんの感覚」に内包されている説得力・根拠なのだと思う。




21年目のB'z。
松本さんの「野生の勘」は、どのような道筋を用意しているのでしょうか。
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